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作者の悩み [創作]

普段、ブログの更新に合わせてWeb拍手レスも公開するんですが、これだけで長くなってしまったので、今回は拍手レスのみの公開に。

>貴明の台詞が荒っぽすぎるのでは? とコメントを送った者です。お返事ありがとうございました。
>>貴明を描いていると、どうしても「"男の子"ってもっとガサツだよな…」とか考えてしまう
>とのことですが、これまた物凄い方向性で考えてらっしゃるなーと。根本的な勘違いがあるというか。
>確かにおっしゃる通り、貴明は"あの年頃の男の子"に対する一般的なイメージと齟齬があると思いますが、だからと言って白詰草さんのイメージなさっている"あの年頃の男の子"を表現するために原作から貴明の口調、性格といった諸要素を変えてしまってはいけないと思うのですよ。
>何故ならば、白詰草さんがなさっているのはあくまでも「th2の二次創作」なのですから原作の貴明のキャラクターを崩すことなく"あの年頃の男の子"を描く方向性を模索するべきです。
>以前、一次創作と二次創作の差違に戸惑っていると書かれてましたが原因はこのあたりにあるのでは。
>一つお聞きしたいのですが、このことについて白詰草さんご自身はどう思われてるのかなーと。
>どんな立派な題目があっても、これは「自分が書きやすいよう都合のいいように原作を改変している」ということになるわけですが、白詰草さんはこれについて納得済みですか? それとも無自覚ですか?
>前者であるならth2の二次創作としては無価値でも白詰草さんというブランド的には価値がありますし後者であるなら単なる勘違いさんって感じですけど、一体どちらなのか興味があります。



>原作の貴明に納得ができないのになんでTH2で二次創作されるんですか?
>白詰草さんはオリジナルも書かれているようですしオリジナルで書かれればいいのではないですかね
>一次で書かない理由があるにせよ、TH2にこだわる理由がないように思えるのですがどうでしょう



2時間くらいの間に集中したメッセージですが、いったいこの間に何が…。
えっと、二次創作に対する考えですが、一次創作と比してどこが違うか? この点について、過程を述べているとムダに長いので、行き着いた結論から述べると、一部を除いては変わらない、という考えです。違う部分は2点、「用意された原作がある」ことと、「原作のコンポーネントを"いかに改変するか?"という問題がある」こと。前者は自明なのでどうでもいいですが、問題なのは後者。コンポーネントというのはこの場合、おおざっぱに次のようなものが考えられます。

1.ストーリー
2.キャラクター
3.テーマ
4.モチーフ
5.その他設定
6.文体

内、ほとんどの場合で改変の対象になるのは1、3、4、6。1を改変しないという二次創作(ストーリーは原作のものを使用するが、視点が違うなど)も見受けますが、数は少ないです。5は作家それぞれですね。極端に変える人もいれば、かたくなに変えない人もいる。
で、2のキャラクターですが、極端化されたり平均化されたりする場合が多いです。意識的か無意識的か、それは文章あるいは絵からはわからないですが…。
私の場合は意識的に改変しています。2だけではなく、1~6全てを改変します。
もちろん、改変しすぎてしまうと原作つきの意味が消失しますので、そこはデッドラインを守る必要がある。キャラクターの名前がToHeart2なのに、中身はダ・カーポの登場人物だなんて言うのでは目も当てられない(一種のメタ・ノベルを目指すならともかく…)。
作者の仕事は、用意された原作のコンポーネントをあれこれと吟味しながら、自分の創作物を作り上げていくこと。その過程で切るところは切るし、加えるところは加える。そのままで良い所は手を着けず、不明なところには考察を加える。そう言うところから、作家のカラーが生まれていくわけです。

無論、その"過程"は読者の知ったことではなく、読み手はそういった裏の事情を全て蹴っ飛ばして、良い悪いを判定する権利を持っています(評論する場合は別)。改変するとかしないとか、その必要があったとか無かったとか、まるで気にする必要はなく、自分の感じたままに面白かったかどうかを判定する。作者側は、その判定に一切口出ししてはなりません。面白かったと言われればその方向を歩み、つまらなかったと言われれば辿ってきた道を見直す必要がある。

要するに、最終的な作品の価値は"結果"のみが裏打ちするということです。過程はあまり問題ではありません。過程を必要とするのは作者のみです。もっと言えば、改変されているいないに関わらず、読者が納得すればその作品は成功しているし、納得しなければその作品は失敗。そういうことになります。作者側は、そういった読み手の評価に耐えられるよう、何とか手探りしながら作品を構築していかなければならない。原作の良さを継承しつつ、いかに"自分の創作"として完成するか。それこそが、二次創作ならではの、作家の腕の見せ所。ここで、作家の上手い下手が露呈します。

話に挙げられている「Season」の場合、読者の観点から納得できないと言われているわけですから、失敗と言うことになります。つまり下手。改変の仕方がまずかったのか、表現の仕方がまずかったのか、それとも両方なのかは吟味する必要がありますが、なんにせよ次作に反映させないといけません。

逆に、成功している作品は何か? 自分の作品を出しても単なる手前味噌ですから他の人のにしますが、たとえばアンソロコミックで名の売れている結城心一さんの作品はたいへん巧いです。「タマ姉と来訪者」などは、向坂姉弟のオイシイところをひたすら極端化した作品ですが、こっちが何か考える前に強引に納得させられてしまう。他にも、バーニア600さんや内々欅さんなどの作品は、もはや原作の原型とどめてませんけれども、異様な説得力があったりする。無一文さんのイルファなんかもそうですね。(なお、理想型を挙げると祥寺はるかさんの「たいくつ」が筆頭です)

要は「さじ加減」。これに尽きると思っています。
以上、作者の言い訳でした。

あと、ToHeart2の二次創作をやってるのは、単純にToHeart2が好きだからです。こだわっているというわけではなく、好きだから書いている。貴明の性格が納得いかない程度の理由で嫌いになったりしません。

それと話は変わりますが、長文をWeb拍手で打つのはツラくないですか? ウチにはBBSもありますし、無記名投稿も許可されているので、ご活用ください。管理人からのレスも、BBSの方が早いですよ。

2007年6月11日 ――白詰草


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